ごあいさつ 第43回日本関節運動学的アプローチ医学会 学術集会 会長 小野 誠(小野整形外科・宇都宮市) この度、「第43回日本関節運動学的アプローチ(AKA)医学会 学術集会」の学会長を拝命し、2023年9月18日(月・祝日)に栃木県宇都宮市のライトキューブ宇都宮で開催いたします。会場はJR宇都宮駅に直結していますが、Webでの同時配信も予定してハイブリッド開催といたします。今回のテーマは、「AKA-博田法による関節機能障害の検証 関節機能障害ってなに? 腰が抜けた」です。学術集会当日は、宇都宮市内に初めて開業する路面電車(LRT)が運行している予定です。 AKA-博田法は、博田節夫先生が1979年から骨・関節運動学に基づき関節神経学を考慮して、関節包内運動の異常(関節機能障害)を改善する目的に開発された運動療法です。 関節機能障害の現象は実際の臨床では本当によく遭遇し、同障害を正しく理解すれば多くの疼痛や運動障害の病態が良く把握出来ます。また、同障害の治療方法としてAKA-博田法を正確に実施すれば、疼痛や運動障害が著明に改善されます。 これまでの一般的な整形外科では、外傷や局所の所見がなくX線でも異常がない小児の関節痛や腰痛などは、異常なしまたは成長痛と説明して経過観察や湿布等で加療している事が多いと思います。しかし、これらのほとんどは関節機能障害による疼痛で、AKA-博田法を施行すれば比較的容易にその場で疼痛が改善します。成人では、X線像で関節や脊椎に変形があれば変形しているから痛みがあると説明し、投薬や注射を施行していると思いますが、これらは同障害の疼痛がほとんどでAKA-博田法を正確に施行していけば疼痛は改善されて行きます。近年では特に高齢化が進み、関節機能障害による歩行障害を頻繁に認めます。筋力訓練や歩行訓練だけでは歩行障害は改善しないため、AKA-博田法による関節機能障害を改善する事が必要です。 今回の学術集会では、AKA博田法の技術の向上のためのご講演として、特別講演で矢倉クリニック 矢倉久嗣先生から「AKA-博田法 ―ポジショニング、密着から仙腸関節、椎間関節の副運動技術を中心に―」のご講演と基調講演としてAKA医学会理事長 片田重彦先生から「AKA博田法の基礎と疼痛の診断・治療」のご講演をお願い致しました。また、関節機能障害によって発生する疼痛・運動障害を探求したいと考え、招待講演1で慶応大学医学部 解剖学講座 准教授 今西宣晶先生から「機能的観点からみた結合組織の肉眼解剖 ―PAFS,LAFSの概念―」。同2では、東京医科歯科大学 システム発生・再生医学分野 教授 浅原弘嗣先生から「腱に紡がれる運動機能とその破綻による関節疾患」。同3では、慈恵医大 整形外科 主任教授 斎藤充先生から「運動器の成熟と老化を科学する一身体のしなやかさと硬さの根幹コラーゲンの役割一」のご講演を頂く事に致しました。また、浅原先生のご提案により、講演の最後にパネルディスカッションを企画いたしました。さらには、突然腰が抜けた状態につきまして、関節機能障害による関節静的反射の減弱による脱力を考察したいと思います。どの様に発展していくか今から楽しみです。 本会の学術集会でAKA-博田法と関節機能障害についてより深くご理解いただき、多くの先生方に日々の診療で正確なAKA-博田法の治療を行っていただく事で、少しでも多くの患者さんの疼痛と歩行や日常動作が改善される事を願います。